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作品として根本的に失敗してないか?[異世界ヒロインとの修羅場な彼女(作者:白石マサル)]

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評価:6/10点

 

いきなりのショッキングな寸評で、申し訳ないのですが。

 

今回、惜しいと思ったので、あえて厳しいことを書かせて頂きます。

 

まず、簡単な作品紹介からしていきましょう。

 

主人公の正樹は、今は普通の高校生をしているのですが、実は「万物の確率を操ることができるチート能力」があります。それが元で、かつては研究所に囚われていたという過去がありました。

 

そこに、同じく研究所の出身者であるメインヒロインの鞘華が現れて、正樹を狙っている敵がいるから、何とかしようという話になりますが……。そこに敵が現れて、対処が間に合わず、異世界に飛ばされて……。という流れです。

 

その異世界というのが、正樹がやっていたハーレムファンタジーもののゲームが元ということで、ゲームクリアを目指して、チートを駆使しつつ、ハーレムを構築していくのがメインストーリーでしょうか。

 

冒頭の学生生活が普通過ぎて、研究所の設定が唐突に感じられたり、もう少し上手い導入はないのかとは思いますが、そこはメインでやりたい部分ではないしょうから、まあ良いでしょう。

 

まあ、ラスボスっぽい敵キャラが、主人公とヒロイン二人をあえて殺さずに転移で一緒に飛ばしてしまったのは、はっきり詰めが甘いというべきでしょうか。この辺りも、やはりもう少し上手く冒頭の誘導ができれば良かったかなと思います。

 

さて、メインヒロインである鞘華ですが、昔から主人公に一途なところ、健気なところ、チョロいところも含めて、非常にかわいいです。この子にはキャラとして魅力があると思います。イラストも(覗いているおっぱいがエロい)ところも含めてかわいいので、一見の価値ありですね!

 

かわいいは正義ポイントによって、この時点で自動的に評価に1点加算されるでしょう(笑)なので本来は5点としたところですが、かわいいので6点です。

 

ただ……。ここからが問題です。 

 

メインヒロインである修羅場なところを楽しませたい、という意欲がタイトルからひしひしと伝わってくる。くるのですが……!

 

メインヒロイン一強過ぎるのです。あまりにも。

 

なんてったって、のっけから主人公と相思相愛。ですよ!

 

正樹は鞘華がそうだと話をするまで知らなかったとは言え、お互い初恋の相手で。昔から意識してて、最初の方で付き合い始めて。そこからずっとラブラブですよ。

 

恋愛ものとしては、ほとんど話が終わっているんです。既に。

 

そこにハーレム設定は、ぶっちゃけ無理に取って付けたようにしか見えん! 

 

ハーレムものの魅力は、個々のヒロインがそれぞれの長所と個性と魅力を備えていて、かつ主人公が色魔だったりお騒がせだったりと、誰を選んでもおいしいような状況で、初めて魅力的なものとして成立します。

 

常に魅力的な対抗馬がいなければならないのです。誰か一人だけを選んではならないのです。

 

しかし、作者さんの描き方からもわかってしまいます。鞘華への力の入れようと、他のヒロインの描き方のどこかおざなり感。内容的にも、正樹と鞘華でひたすら矢印が互いを向いている状態。果てには、サブヒロインと停戦協定まで結んでしまう始末。これでは、修羅場になりようもないではありませんか。

 

つまり極論すると、他のハーレム要員が要らないキャラなんです。

 

飾りみたいなもんです。ストーリーに必要な普通のキャラでいい。ハーレム要員である必要がまったくないのです。むしろ発情してひっついては、話のテンポを悪くするだけ、邪魔でしかない。

 

ハーレムファンタジーが舞台になっているから、ハーレム作らないとクリアできないから。せっかくのキャラを生かすより、設定先行の作品になっていませんか?

 

だから、正樹に「クリアに必要だからハーレム要員増やすけど、お前(鞘華)が一番でいさせてくれ」なんて苦しいことを言わせてしまうんです。整合性を取るため、設定が言わせてしまっているんです。

 

相思相愛の主人公。圧倒的一強のヒロイン。キャラの性格付けが、あまりにハーレムと合わない。確率を弄るチートも、ハーレムとは何の関係もない。舞台設定が調和せず、むしろ喧嘩してしまっています。

 

そこまでして無理にハーレムにする必要があるのか? 正直、メイン二人のいちゃいちゃを描きつつ、確率を弄るチートで活躍させるだけで十分作品が成り立ってしまうと思います。むしろそっちの方が読みたいレベルです。

 

容赦なく言ってしまえば、メインヒロインの魅力だけでもっている作品です。キャラ作りはいい。だけど、彼女たちに合う舞台を用意してあげて欲しい。そんなことを切に思った作品でした。